
副会長候補 上羽 秀敏
ご挨拶
副会長立候補挨拶
副会長立候補者 上羽 秀敏
令和8年度副会長に立候補いたしました、上羽秀敏(うえばひでとし)です。
私はこれまで、産業財産権の取得にとどまらず、知財を活用した企業経営の支援に力を注いでまいりました。なかでも、中小・ベンチャー・スタートアップ企業の知財活用支援に注力しており、2012年より13年間にわたり、高知県の顧問弁理士として活動を続けております。高知県内の中小企業や支援機関と密接に連携しながら、製品・サービスの「強み」を知財で裏付けることで、事業の競争力強化や新規市場開拓に貢献してまいりました。都道府県の顧問弁理士として、これほど長期にわたって継続的に活動している事例は全国的にも稀であり、その経験を通じて、弁理士の社会的役割の広がりと新たな可能性を肌で実感しております。
また、日本弁理士会関西会においても、副会長や知財コンサルティング実行委員会(旧・近畿経済産業局協同委員会)委員長などの要職を歴任し、より実務に即した支援体制の構築に取り組んでまいりました。たとえば、近畿経済産業局が主催する「関西知財活用支援プラットフォーム事業」では、日本弁理士会関西会およびINPIT-KANSAIと協働し、令和3年度から令和6年度までに17社の企業に対して、弁理士による知財コンサルティングを実施して成果をあげてまいりました。今年度も新たに5社の支援が予定されており、着実にその輪が広がっています。また、「知財経営支援ネットワーク」においては、特許庁、INPIT、日本弁理士会、日本商工会議所、中小企業庁が連携する全国的な取り組みの中で、弁理士が中心的役割を担うことが期待されており、私自身も直接これに関与しております。
こうした活動を通じて、私は弁理士による知財コンサルティングには非常に大きな潜在需要があると実感しています。実際、多くの企業が、特許や商標の取得といった従来型の業務だけでなく、知財を経営にどう活かすか、事業戦略にどう組み込むかといった観点からの専門的なアドバイスを強く求めています。「弁理士に知財コンサルティングを依頼したい」という声が、現場には確かに存在しているのです。
しかし一方で、私たち弁理士がそのニーズに十分応えられていない現状もあります。その要因は主に二つあります。第一に、知財コンサルティング業務に対して正当な対価を請求するための仕組みや慣行が、業界内にまだ十分に整っていないこと。第二に、弁理士の多くがこれまで権利取得業務を主軸として活動してきたため、経営的視点に基づいた助言や戦略提案の経験が不足していることです。このような背景から、弁理士が知財コンサルティングに取り組みたくても、容易に一歩を踏み出せない状況があると感じています。
私は、これらの課題を克服し、弁理士が自信を持って知財コンサルティングに取り組める環境を整えることが急務であると考えています。そのためには、実践的な研修機会の提供や、他士業・支援機関との連携によるノウハウの共有、さらには業務報酬の適正化など、制度的・実務的な基盤整備が不可欠です。こうした取り組みを通じて、弁理士の専門性と社会的信頼をさらに高め、正当な報酬が得られる好循環を生み出し、弁理士業界全体の持続的発展に寄与してまいります。
令和8年度は、北村修一郎会長の二期目にあたります。私は、会長の基本方針をしっかりと支えながら、とりわけ重点施策である「知財経営支援の強化」に全力で取り組み、副会長としての責務を誠実に果たしてまいります。
どうか皆さまのご理解とご支援を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。
以上
(文書責任者 伊藤 英彦)
推薦の言葉
将来の弁理士像を見据えた上羽秀敏君に期待する
参謀長 伊藤 英彦
副会長候補の上羽秀敏君と私は、1992年から2001年の10年間程、同じ特許事務所に勤務していた。ただ、彼と私は、担当する分野が異なり別のグループに属していたため、一緒に仕事をする機会は無かった。当時、上羽秀敏君は、仕事上で有能というよりは、仕事以外の領域で目立つ存在だったように思う。
上羽秀敏君は、2002年に特許事務所を開設した。私が記憶しているのは、彼が、事務所開設前後の時期に、「ビジネスモデル特許」についての研究の成果をいたるところで発表し、広く顔を知られるようになったことである。これを皮切りにして、その後の執筆活動および講演活動は多岐にわたるようになった。一度彼の講演を聞いたことがある。簡潔にまとめたパワーポイント資料を見せながら、軽妙なトークでわかり易く解説していた。聴衆を引き込む術を心得ていて、懐の広さを感じさせる講演内容であった。
上羽秀敏君は、一見すると真面目な弁理士ではない。外見上、怖い人のようにも見える。しかし彼は、実に真面目に物事を捉え、将来の弁理士像について真剣に考えている。弁理士としての活動も多岐にわたる。
彼の弁理士としての活動の一部を列挙すると、日本知的財産仲裁センター調停人・仲裁人・判定人候補者、日本弁理士会近畿支部副支部長、中小機構知財戦略支援人材の育成事業全体委員会委員、ソフトウェア紛争解決センター仲裁人・あっせん人候補者、関西特許研究会代表幹事、西日本弁理士クラブ幹事長、日本知的財産仲裁センター関西支部運営委員、高知県顧問弁理士、日本弁理士会関西会副会長、日本弁理士会関西会知財コンサルティング実行委員会副委員長、日本弁理士会執行理事、日本弁理士会関西会近畿経済産業局協同委員会委員長、近畿経済産業局VR・AR等を活用したサービス創出に向けた有識者検討委員会、日本弁理士会第4次産業革命知財システム検討会対応WG等である。
私を含め多くの弁理士は、特許・実用新案・意匠・商標の権利化および取得した権利の活用を業務の主軸としてきた。知財を取り巻く環境は、明らかに変わりつつある。今後、否応なく、AIが我々の業務にも浸透してくる。今後の弁理士に求められるのは、権利化取得や権利の活用だけでは足りず、知財コンサルティング業務である。
多くの弁理士が知財コンサルティングのニーズを感じながら、なかなかそこに入り込めていないのが実情である。上羽秀敏君は、この課題を克服し、弁理士が自信をもって知財コンサルティングに取り組める環境を整えたいとの思いを強く抱いている。
今後の弁理士にとって「知財コンサルティング」は不可欠な業務になると思われる。そのための環境整備も必要になる。上羽秀敏君を副会長候補に送り出すことは、まさに今後の知財コンサルティングの環境整備の第一歩になる。
来期は、北村修一郎会長の二期目にあたるが、北村執行部を支えるには、当クラブから選出される副会長が重要な役割を果たさなければならない。将来の弁理士像を見据えた上羽秀敏君は、北村執行部の中で大いに活躍することを期待できる。
上羽秀敏君に対し、皆様の温かいご支援を賜りますよう宜しくお願い申し上げます。
(文書責任者 伊藤 英彦)