追悼文「小谷悦司先生への追悼の辞」

小谷悦司先生への追悼の辞

弁理士 古谷 史旺

 小谷悦司先生がご逝去されたことは、令和4年10月17日午後9時に弁理士会から発信されたメールで知りました。

 弁理士試験に合格した5年ばかりあと、弁理士会の各種委員会に出席するようになってから、その委員会で小谷先生から声を掛けられました。そのころ既に小谷先生は西の論客として名を馳せておられたことから、声を掛けられただけで足が竦む思いでした。
 その後、弁理士法改正特別委員会でご一緒させて頂いたときに、日本の知的財産制度の将来、弁理士制度の将来を熱く語らい合い、小谷ファンの一人になったものでした。

 弁理士制度の抜本的な改革は、実現するまでに気が遠くなるほどの長い年月を要しましたが、それでも小谷先生の熱き思いは、燃えたぎるばかりで冷めることはありませんでした。
 弁理士法の抜本的改正は、実に80年ぶりとなる平成12年に漸く実現しましたが、そのとき、小谷先生と万歳!したことを今でも覚えています。弁理士法はその後、侵害訴訟代理権の獲得、使命条項の創設など、数次の改正を経て今日に至ります。
 少し、専門的になって恐縮ですが、若し小谷先生がお元気であられれば、種苗登録の代理権の問題、経済安全保障推進法の二次審査における代理権の問題等々、ご相談に与らなければならないことが山積しております。

 私事になりますが、平成25年~26年に亘り弁理士会の会長をさせて頂きましたが、会長選挙の時、小谷先生をはじめとする西日本の弁理士の方々が挙って支援して下さらなければ、当選はとても覚束なかったことでした。
 無事に当選できたとき、小谷先生が私の手を強く握り、我がことのように喜んでくれたのが、昨日のことのようです。
 小谷先生の元気なお姿を見られなくなったことが、残念でなりません。

合 掌